2017/12/27
人身損害
Auther :下山 和也
将来の介護費について
脊髄損傷や高次脳機能障害、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)など、重い後遺障害(後遺障害1級・2級)が残る場合には、長期間にわたる介護が必要になります。ご両親やご兄弟など近親の方が仕事を休職したり退職したりして介護に努めることも少なくありません。
しかし、休職や退職は家計に大きな打撃を与えます。また、介護による大きな体力的・精神的負担に耐えられるだけの十分な力を有しない方もおられます。そのような場合に無理に自分の力だけで介護しようとすることは、介護者だけでなく介護を受けるご本人にとっても望ましいことではありません。
長期間の介護には、ヘルパーなどの職業付添人を上手に利用して、ご自身の生活をきちんと維持しつつ、ご本人と向き合っていくことが大切です。
もっとも、ヘルパーなどを利用すると多大な費用が必要になります。それにもかかわらず、保険会社の提示する支払額では、この費用が十分に反映されていないことがあります。将来の介護費を加害者側に請求できるかどうかは、ヘルパーなどを利用する必要性がどの程度あるのか、いつからいつまで利用する必要があるといえるのか等について、周りの方のお仕事の状況や健康状態などの要素を考慮し、決められます。
弁護士が入念に聴き取りを行い、詳細かつ適切な主張をすることで、これから先の介護費としての賠償額を増額できる可能性があります。
ご家族が長期間にわたる介護が必要となった方は、どうぞ一度弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→こちら
2017/11/27
人身損害
Auther :下山 和也
入院・通院時の損害賠償
交通事故に遭って怪我を負い、怪我の治療のために入院や通院が必要になった場合、交通事故被害者は治療に必要な費用や、入院・通院によって仕事を休む必要が生じ、収入が減少した分の補償などを請求することができます。
ここでは、入院・通院時に発生する主な損害賠償についてご説明いたします。
①治療関連費
治療関連費としては、事故によって受傷した怪我の治療費・入院費、また、通院に関る交通費などがあります。治療費は病院の領収書や請求書があれば全額を請求することが可能ですが、過剰診療や高額診療などの場合においては、一定額以上の請求ができなくなる可能性があります。
また、入院費についても同様で、入院費は一般病棟の室料が基準となっているため、個室を希望し高額な室料になってしまった場合においては、原則として室料の請求が認められない可能性があります。しかし、例えば重篤な症状で入院する場合や、他に病室の空きがなかったという場合においては、室料を請求することが可能です。
通院に関る交通費においては、電車やバス、タクシーなどに乗車して通院した際の料金を請求することが可能です。しかし、タクシーを利用する場合においては、例えば被害者のお住まいの交通の便や、怪我の症状などで公共交通機関を利用することが容易ではない場合に限られます。
また、自家用車を利用して通院した場合においては、通院にかかったガソリン代金、駐車場の代金、高速道路を利用した場合は高速代金などを請求することができます。
②休業損害
休業損害とは、交通事故によって怪我を負った被害者が、入院期間、通院期間に仕事を休んだことにより、収入が減少した場合の減収分の補償です。休業損害の計算に当たっては、事故前の1日あたりの収入と、医師が判断した休業日数によって計算されます。
休業損害という名称ですが、主婦や求職中の方でも休業損害を請求することは可能です。休業損害は、職業によっても違いがありますので、詳細は弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
③入院・治療・怪我に対する慰謝料
入院・治療・怪我に対する慰謝料は、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入院・治療・怪我に対する慰謝料の計算は、①実際に治療を受けた日数の2倍、②治療期間の日数、のいずれかの少ないほうの日数を基に計算されます。
しかし、注意しなければならないのは、この慰謝料計算においては基準が3つ存在する点です。保険会社は一般的に、自賠責保険基準、あるいは任意保険基準のいずれかを用いて計算をしているのですが、裁判所の基準と比較した場合には低額になることです。適正な賠償金の計算においては、弁護士にご相談されることをお勧めします。
お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→こちら
2017/09/27
人身損害
Auther :下山 和也
将来の介護費に関する注意点
① 現在はヘルパーなどを利用していないが、将来的に利用したいと考えておられる方の注意点
近親の方による介護がある程度の期間継続的に行われていると、その期間が長引くほど、いまさらヘルパーに頼る必要はないだろうということで、将来の介護費が認められにくくなる傾向があります。
しかし、介護しておられる方が高齢になってきたり病気にかかったりして身体的・精神的にこれ以上負担できなくなる事情がある場合や、子どもの学費等で家計が苦しくなってくるので仕事を再開したい等の事情がある場合には、ヘルパーなどの利用が必要だと主張していく余地があります。
どのような主張が可能であるかは、それぞれの方の具体的な事情によりますので、どうぞ、一度ご相談ください。
② 現在すでにヘルパーなどを利用しておられる方
現在ヘルパーなどを利用していても、そこまでのサービスを利用する必要はないのではないかといった量的な問題や、いつ頃まで継続する必要があるのかといった時間的な問題について、争いになることが少なくありません。
このため、現在すでに利用しておられる方についても、ご本人の要介護状態等に加え、介護しておられる方のお仕事の状況や健康状態等、過去から将来にわたる様々な事情を主張していく必要があります。
どのような主張が可能であるかは、それぞれの方の具体的な事情によりますので、どうぞ、一度弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→こちら
将来介護費の算定について(裁判例の大まかな傾向)
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近親者による介護 |
ヘルパーなど職業人による介護 |
後遺障害1級 |
日額8000円~1万円 |
日額1万5000円~1万8000円 |
後遺障害2級 |
日額5000円~8000円 |
日額1万円~1万5000円 |