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コラム一覧

2021/06/23

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Auther :アステル

~はじめに~

交通事故の損害賠償を進めるうえで、依頼者さんが最も分かりにくい法律用語が「因果関係」ではないかと思います。

なぜなら「因果関係」は私たちの生活の中で使われる意味と、法律上賠償責任を生じさせる場面で使う意味が異なるからです。

生活上で使う場合、「因果関係」は専ら「条件関係」という意味で使われます。つまり「あれなければこれなし。」です。この考え方では、被害者からすれば当然「事故がなければこの痛みは生じていない。」ので、どのようなものも賠償されるべきものではないか、と感じられると思います。

しかし、交通事故による賠償責任を生じさせる場面では、条件関係に加えて、①医学的(科学的)な条件関係が必要になり、さらに②賠償責任を生じさせることが社会的に「相当か」というフィルターも介されることになります。

このような「因果関係」について、保険会社と対立してしまうシーンごとにシリーズ化して、少し掘り下げてご説明していこうと思います。

 

交通事故と因果関係シリーズ① 「事故とケガとの因果関係」

1 保険会社が病院の治療費の支払いを拒む場合

交通事故のご相談の際のお困りごとの一つとして、「事故後に身体が痛くなったのに、保険会社が病院の治療費を支払ってくれない。」というご相談を受けます。

保険会社が治療費を払わないという対応をするのは、主として、被害者側の過失割合が大きい場合か、「事故とケガとの間の因果関係がない」と考えている場合です。

今回は、この「事故とケガとの因果関係」についてご説明します。

 

2 請求権の前提となる「因果関係」

交通事故による損害賠償は、民法709条に規定される「不法行為に基づく損害賠償請求」を前提にしています。

この「不法行為に基づく損害賠償請求」というのは、故意や過失による違法行為(不法行為)により損害が生じた場合、被害者は不法行為者に対してその損害の賠償を請求できる、というものです。

このとき、賠償される範囲は、当該不法行為「によって」生じた損害となりますが、この「によって」の部分を「因果関係」といいます。

「因果関係」は、不法行為と損害との間に(医学的・科学的な)条件関係があって、かつ賠償責任を負わせることが社会的に「相当」と言えるものに限られています。

 

3 保険会社が拒否する2つの場合

今回のシーン「事故とケガとの因果関係」について、保険会社が因果関係を否定して来るケースは、だいたい、①事故による物的損害が軽微である場合か、②痛みの原因となっている身体的変性が事故以外のものにより生じている可能性が高い場合、の2つです。

 

まず、①事故による物的損害が軽微である場合は、それほど大きな物的損傷がないのだから、身体にもそれほど影響があったとは考え難い、治療が必要な痛みが生じているのは事故以外に原因があるはずだ、という論理になります。

この場合、被害者としては、事故後直ちに医師の診察を受けることが大切です。その際、腫れや発赤、内出血などの外傷性変化の状況を確認してもらいつつ、事故の際にどのような姿勢だったか、事故の衝撃で身体をどのようにぶつけたか、どのようにひねったか等を医師に説明しておくことが重要です。

また、保険会社が治療費の支払いを否定したからといって、治療をしないのではなく、身体のメンテナンスもかねて、健康保険を利用しながらご自分の費用で治療を継続することをお勧めします。因果関係の立証に必要なMRIなどの検査を受けることも必要になります。

これらの事実を前提に、主治医や医療調査会社の顧問医などに医学的な意見を求め、保険会社や自賠責、将来的には裁判官に対して因果関係があるとの主張立証をしていくことになります。

 

②事故以外のものによる可能性が高い場合は、例えば、骨折箇所が外傷性変化とは別の部位に生じている場合や、ヘルニアの経年性変性などの場合が挙げられます。

事故による外傷性変性と説明がつかない場合は、残念ながら、すべてが事故によるものとして因果関係が認められることは困難でしょう。

このような場合、仮に因果関係が認められたとしても、そのような特別な身体的な特徴(法律用語では「身体的素因」といいます。)が重症化の一因になったとして、損害全体の賠償が認められるのではなく、割合を限定した賠償が認められる場合があります。

いずれにせよ、どのような理由で痛みが生じているのか、骨折やヘルニアなどの所見が事故による外傷性のものと説明がつくのかを検査し、医学的な意見を求める必要があります。

 

4 事故賠償の専門家、弁護士にご相談ください

「事故とケガとの因果関係」について注意すべき点は、事故後に痛みが生じたことだけで、当然に因果関係が認められるわけではないということです。

被害者側としては、事故後に痛みが生じ、診察した医師も「事故が原因でしょうね」と説明することから、因果関係は「当然に」認められるはずだ、と考えてしまうことが多いでしょう。

しかし、医師も「患者の説明からすれば、ほかに要因はなさそうだから、事故による影響だろう。」と考えたことを伝えたにすぎない場合があり、事故との因果関係を精査して説明しているとは限りません。

必要なのは、医学的判断の前提となる事情、すなわち事故直後から治療の経過や検査内容などを医師に確認してもらい、これらを前提に、医学的な説明が可能であるかを確認することです。

実際に、どれだけ医療記録などを調査しても、事故との因果関係の立証が困難なケースもあるでしょう。

当事務所では、協力関係にある医療調査会社による医学調査や医師鑑定を利用しています。費用は別途かかりますが、弁護士費用特約によって賄うことができる場合もあります。

保険会社から因果関係を否定された場合でも、アステル法律事務所の交通事故相談をご利用ください。

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【人身傷害に関するコラム】

 

 

 

2021/06/01

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Auther :アステル

症状固定後の「将来の治療費」が賠償の対象となるのはどのようなとき?

交通事故により重傷を負ってしまうと、症状固定と診断されたのちも、治療を継続しなければ症状が悪化してしまうケース等があります。このような場合の「将来の治療費」についてご説明します。

まず、交通事故に遭った場合、被害者は、加害者に対して、治療費等の人身損害、車両修理代等の物的損害等の損害賠償請求ができます。請求できる損害の内容については、こちらをご覧ください(関連コラム:損害の種類

 

1 症状固定後の通院費は、原則自己負担となります

交通事故によってお怪我が生じた場合、慰謝料や休業損害のほか、治療費・入院費、交通費、雑費等を請求することができます(関連コラム:入院・通院時の損害賠償)。

これらの治療関連費の請求は「症状固定」まで、すなわち、治療によって症状が改善される間の治療費に限られます(関連コラム:治療費に関する注意点)。治療による症状改善の効果がなく、対処療法的な治療でしかない場合は、残念ながら治療の必要性が認められないのが原則です。

症状固定後は、後遺障害に対応する逸失利益や慰謝料、介護が必要な場合の将来の介護費等が賠償の対象となります(関連コラム:高次脳機能障害の将来介護費

したがって、症状固定後の定期診察等にかかる費用については、ご自身のお身体のメンテナンスとして、健康保険を使って、ご自分で負担していただくことになります。

 

2 将来の治療関連費が請求できる場合があります

1)治療費・入院費について

もっとも、症状固定後であっても、重傷を負い身体機能が低下しているような場合に、治療の必要があり、かつ、将来の支出の蓋然性があるものについては、請求することができます。

まず、治療を続けなければ症状が悪化するような場合の保存的治療にかかる費用は、ほとんどのケースで認められています。例えば、胃瘻チューブ交換のための入院、身体硬化を防ぐための理学治療、頭部外傷後の抗てんかん剤・抗けいれん剤・精神安定剤等の請求を認めた裁判例があります。

これに対し、リハビリ費用については、裁判所の判断は事例によって異なります。被害者の後遺症の症状、リハビリ治療の内容、効果、現在の治療状況等にフォーカスし、主治医の意見や治療経過等の客観的資料を踏まえて、必要性・蓋然性を立証する必要があります。

 

2)交通費について

将来の通院治療の必要性、蓋然性が認められる場合、通院に必要な交通費も請求できる場合があります。

もっとも、交通費の額、利用する交通機関の立証が不十分だと、減額・否定されることもありますので、資料の収集、検討や主張をしっかりと組み立てていく必要があります。

 

3)雑費について

排尿・排便障害がある場合のカテーテル、バルーン、消毒用品等、後遺症の症状によっては必要な消耗品を雑費として請求できる場合があります。

具体的な費目、金額は、後遺症の症状・程度によって個別に判断されますので、現在使用している物品、将来使用する可能性の高い物品について、必要性を示していく必要があります。

 

治療を継続しなければ生命や身体に影響があるような重度の障害が残るような場合は、将来の治療費を賠償額に含めて算定することができます。この場合、上記のとおり必要性の立証や、その治療費等の金額を具体的に算定せねばならないなど、ご本人やご家族だけでは難しい場合もあります。

お困りの場合は、アステル法律事務所の交通事故相談をご利用ください。

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【適正な後遺障害の認定を受けるために】

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 【後遺障害に関するコラム】

 

2021/02/17

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Auther :アステル

高次脳機能障害の将来介護費について

 

1 高次脳機能障害でも介護が必要な場合がある

交通事故により、頭部外傷を負った後、高次脳機能障害が残存する場合があります。

高次脳機能障害は、外傷性脳損傷によって脳の機能に障害が生じるもので、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、行動障害、人格変化などが生じます(詳しくは、弁護士法人アステル法律事務所HP「高次脳機能障害について」をご参照ください。)。

 

高次脳機能障害の特徴的な障害の内容からすれば、特に日常生活動作(ADL)について問題なくとも(自立している)、例えば、日常生活の中で火や刃物などの危険なものを取り扱うことができなくなったり、行動や感情をコントロールできないほどの行動障害が生じていたりするような場合など、「見守りや声掛け」といった側面での介護が必要となることがあります。

 

2 将来介護費とは

将来の介護費は、被害者に介護が必要となる後遺障害が存在している場合に、症状固定後に必要な介護のための費用です。介護を実施するのは被害者の近親者であることが多く(「近親者付添人」といいます。)、日常生活全般にわたり常時介護が必要な場合の日額8000円が基準とされ、介護の必要性や、具体的な介護内容、介護に必要な時間などによって具体的な金額を検討することになります。

「介護が必要な後遺障害」については、自賠責保険制度においては、常時介護が必要な場合、随時介護が必要な場合として、後遺障害別表第1の第1級と第2級が指定されており、第3級以下、別表第2の後遺障害は直ちに常時介護の必要性が認められるわけではありません。

とはいえ、これまでの裁判例からは、第3級以下であっても、具体的な事案に応じて、将来介護費を認めてきました。

上記のように、高次脳機能障害において、日常生活動作(ADL)が自立しているため、身体介護が不要な場合であっても、その障害の内容に応じた「見守り・声掛け」の介護が必要な場合は、具体的な事実に即して判断されています。

 

3 将来介護費が認められるために

⑴ 視点

将来介護費の算定においては、要介護者に残存した後遺障害の内容に応じ、具体的な介護の必要性や内容、時間など(要介護者側の事情)のほか、介護者側の事情も踏まえて、金額が検討されます。

要介護者側の事情の分析としては、次のような視点が必要です。

①要介護者ができること/できないことは何か

②要介護者ができないことにどのような危険性があるか

③要介護者ができないことは、生活の中でどれほどの頻度で生じるか

これらの視点から、要介護者にとって必要な介護が何か、介護の内容や介護に要する時間がどれほどか等を具体的に分析する必要があります。

また、介護者側の事情としては、介護者の立場(要介護者との関係性、年齢、仕事や家族の中での役割等)や、介護の負担の程度などがあげられます。

 

⑵ 資料

要介護者側の分析の前提としては、病院のカルテや看護記録などの「医療記録」が重要な資料となるのは言うまでもありません。

このほか、日常生活における介護の必要性や介護の内容を分析するにあたっては、高次脳機能障害の後遺障害認定の際に作成する「日常生活状況報告書」も重要な資料です。

報告書作成の際に、具体的なエピソードや、実際の生活内での介護タイムスケジュール等を詳細にまとめておくことは、後遺障害等級認定だけでなく、将来介護費の算定においても有用な資料となります。

また、行政における介護関連資料も有用な資料となります。例えば、障害福祉サービスの「介護支給量」がどのように認定されているか、などです。

就業や就学の継続ができている場合は、就業や就学の状況や、会社や学校側の特別措置などがあればその内容などを、会社や学校の資料踏まえて分析することも必要でしょう。

 

4 まとめ

将来介護費については、個別の事案の具体的な事情毎に判断され、高次脳機能障害の後遺障害認定段階から、トータルに準備していくこととなります。

交通事故で頭部外傷を負い、意識障害が生じているような場合は、後遺障害認定準備段階から弁護士にご相談していただくことで、治療の経過、回復の状況などを見つつ、高次脳機能障害が残存する可能性があることを見据えながら、準備していくことが可能です。

治療段階からアステル法律事務所の交通事故相談をご利用ください。

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 【後遺障害に関するコラム】

 

2020/11/26

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Auther :アステル

おけがの治療をしていると、加害者保険会社から、「そろそろ治療終了しませんか」と連絡があることがほとんどです。

今回は、加害者が負担すべき治療費について、被害者側が注意しておくべきことについてみていきましょう。

  1. 1.治療費の賠償が認められる期間

交通事故によって入通院が必要となった場合、事故に遭わなければ治療費が発生することはなかったわけですから、これを加害者に請求することができます。こちらのコラムも併せてご参照ください。

ただし、賠償が認められるのは、原則として、症状固定まで、すなわち、治療を続けることで症状が改善される間の治療費に限られます。症状固定後の治療費が認められるのは、遷延性意識障害等、治療を続けなければ症状が悪化する場合で、その防止のために必要かつ相当な治療に限られます。

  1. 2.治療費の支払

加害者が対人賠償保険に入っている場合、加害者保険会社が各医療機関に直接治療費を支払うことが一般的です。

もっとも、我が国では、一般的には、損害賠償を受ける時期は、損害賠償請求権の内容が確定した後、すなわち、発生した損害が確定した後になります。交通事故事件において、加害者保険会社が治療費を都度払いしてくれるのは、実は極めて例外的な対応なのです。

事故から一定期間が経つと、加害者保険会社から、そろそろ症状固定ではないですか?=治療終了じゃないですか?と連絡が来ます。こちらのコラムも併せてご参照ください。

症状固定したかどうかについては医師の診断が重視されますが、主治医が治療継続と言っており、また、交渉にもかかわらず、治療費の支払いをストップされることがあります。加害者保険会社の治療費支払いはあくまで任意のものですので、この場合、強制する手段はありません。ご自分の健康保険を使って治療を継続していただくことになります。後日、治療費支払いストップ後も症状固定していなかったことが立証できれば、症状固定までの治療費については、事後的に賠償を求めることができます。

  1. 3.過失相殺がある場合

交通事故の発生について、双方に過失があると認められる場合、その過失割合に応じて、損害を分担することになります。例えば、こちらの過失が2割である場合は、相手方から賠償を受けることができるのは、発生した損害の8割にとどまります。これを、過失相殺といいます。

加害者保険会社が治療費を支払っている場合は、支払総額と過失相殺後の額との間に差が生じます。例えば、治療費が100万円で加害者保険会社がその全額を支払っている場合で、こちらの過失が2割だったとき、本来加害者が負担すべき金額は80万円ですから、加害者保険会社は20万円支払いすぎということになります。この支払いすぎた分については、最終的な賠償額の算定において差し引き計算されてしまいます。こちらの過失割合もそれなりに高い場合で相手方保険会社が治療費を支払っているときは、症状固定時期に注意しないと、最終的にお手元に残る金額が低くなることがあります。

なお、労災保険から治療費が支払われている場合には、費目を超えた清算は認められません。

 

お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→こちら

2020/09/04

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Auther :アステル

1 事案の概要

この事案は、事故当時4歳だった被害者が、道路横断中に大型トラックと接触する交通事故にあい、脳挫傷等の傷害を負い、後遺障害等級別表第2第3級3号の高次脳機能障害が残存した事例です。

被害者側は、後遺障害の逸失利益(障害が残存することで失ってしまった将来得られたはずの収入分の損害)について、就労可能期間の始期である18歳になる月の翌月から、その終期である67歳になる月までの間の収入額について、各月に定期金によって支払うことを求めました。

2 定期金賠償とは

交通事故による損害賠償請求を行う場合の損害は、交通事故の時点ですべて発生するわけではありません。損害の中には、将来得られるはずだった給料や、将来発生する医療費や介護費など、将来にわたって発生する損害も多くあります。

一般的な賠償方法としては、将来発生するはずの損害も一括して算定して賠償が行われます(「一時金賠償」といいます。)。この場合の将来発生する損害の算定については、本来なら賠償日に発生するものではないため、運用すれば得られるであろう利息について除外する計算をします(「中間利息控除」といいます。)。そのため、例えば月額20万円の給料を20年もらい続ける場合、20万円×12か月×20年、という計算ではなく、20年に相当する中間利息控除を考慮した係数(ライプニッツ係数等)をかけることになります(20年に相当するライプニッツ係数は14.8775となり、20万円×12か月×14.8775=3570万6000円となります。)。

他方で、今回の請求のような定期金賠償の場合、損害が発生するごとに定期的に支払われることになるため(事案では、将来得られる月次給料相当額を毎月賠償するという内容)、中間利息控除をする必要がありません。そのため、上の例では、毎月20万円が支払われることとなり、逸失利益の総額は、20万円×12か月×20年の4800万円になります。

また、定期金賠償の場合、被害者の病状や介護状況の変更、社会情勢の変化による費用の大幅な変化などの事情変更の場合に対応することができることも利点として挙げられます。

これまで、将来の介護費用について定期金賠償が認められていましたが、後遺障害逸失利益については明示されていませんでした。

3 本判決の内容

本判決では、後遺障害による逸失利益についても、算定の前提となる事情に著しい変更が生じた場合に乖離を是正し、現実化した損害の額に対応した損害賠償額とすることが公平にかなう場合があるとし、被害者に生じた損害を填補するという目的と、損害の公平な分担を図るという理念に照らして相当と認められるときは、定期金賠償の対象となると判示しました。

また、定期金賠償の終了時期について、加害者側からは被害者の死亡時までとするべきだと主張されていましたが、交通事故の時点で、被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、就労可能期間の終期までの賠償となる(本件では67歳になるまで)としています。

小池裕裁判官の補足意見では、仮に期間中に被害者が事故と別原因で亡くなった場合には、定期金賠償から、その時点での一時金賠償に変更する訴えを提起する方法が検討に値すると述べられています。

4 どういう場合に定期金賠償を検討するか

まず、定期金賠償が認められる可能性があるのは、「将来介護費」と「後遺障害の逸失利益」です。

将来の事情の変更によって、事故直後に算定した内容と乖離が生じる可能性がどれほどあるのか、という点を具体的に検討することになります。例えば、被害者が重度の障害を負っているところ、当面自宅でご両親による介護ができたとしても、それが何十年もかかることで、両親が高齢になってしまい介護ができなくなることが考えられる場合です。

定期金賠償のメリットとして賠償額の総額は増えますが、他方で、その後相手方からの支払いを受け続けるということは、相手からの支払いを確認し、支払われていない場合に催促する必要もありますし、特に途中で事情変更などが生じると、再度の協議や訴訟などを要することとなり、いつまでも負担が継続してしまうという側面もあります。

賠償金が増えるからと、安易に定期金賠償を選択するのではなく、いろいろな視点から慎重に検討するべきといえるでしょう。

当事務所では、一時金での賠償額と定期金の賠償額とを算定したうえで、後遺障害の状況、介護状況、その他ご家族の状況や将来の可能性を、依頼者と多角的に検討して対応します。賠償の方法についてお悩みの場合にもご相談ください。

 

 

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