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コラム/評価損(格落ち)は認められにくい

2017/12/13

shimoyama

Auther :下山 和也

評価損(格落ち)は認められにくい

 

1 交通事故の物損についての相談で、多いのが「事故歴がつくことで車両の価値が落ちる分は、どうなるのでしょう。」といったお問い合わせです。

これは、「評価損」、いわゆる「格落ち」というものであり、交通事故における損害として、賠償の範囲に入るかという問題になります。

2 「評価損」には、①修理によっても走行性能等の完全な原状回復が図れないという「技術上の評価損」がある場合と、②事故歴がつくことで中古車市場価格が下がる「取引上の評価損」がある場合とに分けられます。

①技術上の評価損については、走行性能等に欠陥が生じることによって下落する車両価格について、損害賠償の範囲となることが認められますが、②取引上の評価損については、見解に争いがあります。

とはいえ、実務上は、取引上の評価損も必ずしも認められないわけではなく、具体的な事情に応じて評価損の有無や金額が判断されています。

3 評価損の算定方法としては、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額とする方法や、事故当時の価格の一定割合とする方法、修理費の一定割合とする方法等があります。

一般的には、修理費に割合をかける方法がとられることが多くあります。これは、損傷の程度が大きいほど、修理代が高額になる一方、車両価値の低下も大きくなると考えられるためです。

この場合の割合については、具体的な事情を総合的に考慮することになります。たとえば、被害車両の車種、年式、走行距離や、損傷の部位や程度、修理状況も問題になります。また、事故当時の中古車市場価格や、財団法人日本自動車査定協会による事故後車両の査定(事故減価額証明書)なども判断の資料となります。

一般的には、そもそもの車両価格(資産価値)が高い外国車や高級車、初度登録から半年以内の新車等の場合に評価損が認められやすい傾向にあります。

しかし、残念ながら、初度登録から複数年が経過している一般国産車等の場合には、そもそも評価損が認められないことがほとんどです。

4 保険会社の対応としては、基本的に評価損を認めてこない傾向にあります。仮に評価損を争う場合は、訴訟による解決となってしまう可能性があることを十分に考慮する必要があります。

示談で保険会社に評価損を支払ってもらうことは困難と考えておいた方が良いでしょう。

 

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